大人の絵画講座 04


絵画の可能性

 

 

 絵画史を振り返る時、どの時代においても、過去より常により新しいものを創造しようとする動機が、芸術を生み出す力になると言うのは、間違いありません。その時代を一歩、先んじた芸術家がその時代の先導者であり、多くの追従者を生み出すことになるでしょう。

 一方で、それとは関係なく独自のスタイルを作り上げていく画家が、少数ではありますがどの時代にも存在しています。

 例えば、19世紀のドイツの画家フリードリッヒや、20世紀のアメリカの画家ホッパーなどは、まさにその代表的な画家であると思います。彼らは、その時代の新しい芸術に対して、ほとんど影響されることなく、その芸術性は非常に個人的であるがゆえに、唯一無二の絵画を創り出すことになります。彼らは、他の画家が何をどう表現しようが、彼らの孤独で悲観的な個性を、その作品の中に反映させることしか、表現のすべを持たなかったように思えます。彼らにとって、絵を描くことは、自らの内面性を浄化する目的でしかありませんでした。

 しかしながら、連綿と続く絵画の歴史の中に組み込まれてはいないにも関わらず、彼らの芸術は、その際立つ個性によって、いつまでも光り続けています。

 今、現代においては、芸術の新しい概念、または様式、そして絵画とは何であるか、絵画はどうあるべきかよりも、私的な見解をもった絵画を作り続けた彼らの立場は、現代の画家に、非常に重要な指針となっているのではないかと思います。